小屋 達哉
生産技術本部 技術部(所属部署は開発当時のものです)
皆さんも、ファーストフード店で表面が不思議な手触りの紙コップをお使いになったことがあるでしょう。それが日本デキシーの開発した「断熱カップ」です。
過去ファーストフードチェーンでは、熱い飲料でも持ちやすいように断熱効果の高い発泡スチロール製カップを使用していましたが、より製造焼却時の環境負荷が低く、断熱効果のある「紙製」の断熱カップの登場は、市場から待ち望まれた革新的なものでした。
過去ファーストフードチェーンでは、熱い飲料でも持ちやすいように断熱効果の高い発泡スチロール製カップを使用していましたが、より製造焼却時の環境負荷が低く、断熱効果のある「紙製」の断熱カップの登場は、市場から待ち望まれた革新的なものでした。
実は、この断熱カップ、製造工程で偶然起こった現象から生まれたものです。
もともと「紙」には防水性がありません。飲料容器としての機能を持たせる為に、紙コップの表面は、ポリエチレンという樹脂で薄くラミネートされています。紙コップを成型する際、ラミネートのポリエチレンを加熱によって溶かすことで紙と紙を接着させ、同時に接着部分からの飲料漏れも防ぐことができます。
ある時この加熱時に、カップ表面に熱が回り込み、表面のラミネートに微妙な膨張が起こりました。
この現象の解決策を掘り下げる中で、逆にこれを利用して空気層をつくることができるのではないかと閃きました。そして紙コップ表面全体を綺麗に発泡させようと試みたのです。
もともと「紙」には防水性がありません。飲料容器としての機能を持たせる為に、紙コップの表面は、ポリエチレンという樹脂で薄くラミネートされています。紙コップを成型する際、ラミネートのポリエチレンを加熱によって溶かすことで紙と紙を接着させ、同時に接着部分からの飲料漏れも防ぐことができます。
ある時この加熱時に、カップ表面に熱が回り込み、表面のラミネートに微妙な膨張が起こりました。
この現象の解決策を掘り下げる中で、逆にこれを利用して空気層をつくることができるのではないかと閃きました。そして紙コップ表面全体を綺麗に発泡させようと試みたのです。
連続生産の中で表面だけを均一に発泡させるのはかなり難しいことでした。表面のポリエチレンに発泡性のガスを含ませるということもできましたが、私達は化学的なものを追加する事無く出来る限り自然の変化を上手く利用して成功させようと試行錯誤を繰り返し、遂に従来の紙コップに何も加える事無く、その技術を編み出すことに成功しました。
発泡のメカニズムはごくシンプルです。紙に含まれる水分を緩やかに加熱することで膨張させ、ポリエチレンを発泡させるわけですから、環境にも大変優しい工程なのです。
発泡のメカニズムはごくシンプルです。紙に含まれる水分を緩やかに加熱することで膨張させ、ポリエチレンを発泡させるわけですから、環境にも大変優しい工程なのです。
この断熱カップは、大手ファーストフードチェーンの採用で瞬く間に日本全国に普及しました。断熱効果の他にも、カップ表面の凹凸によって滑りにくい効果があり航空会社で機内用カップとしても活躍。紙カップの強度を作っているカップの口のカール部分が、断熱加工工程の加熱で接着される為、形状保持性が高まり丈夫になりました。そしてラミネートの上に印刷する技術も開発し、印刷適正も格段と向上しました。
断熱カップは、いつでもどこでも安心してホットドリンクを楽しんで頂けるユーザビリティと、何も足さない自然を利用した製造工程で環境負荷への配慮も兼ね備えた製品なのです。
断熱カップは、いつでもどこでも安心してホットドリンクを楽しんで頂けるユーザビリティと、何も足さない自然を利用した製造工程で環境負荷への配慮も兼ね備えた製品なのです。
断熱カップは世界各国でも特許を取得、いまやアメリカ・ヨーロッパ・東南アジアでライセンス生産されています。シンプルだからこそ国境を超えて広く使われていく製品。アメリカから日本にやって来た紙コップ、これをさらに進化させたのは日本デキシーの技術。この断熱カップは、まさに日本発の「世界標準」なのです。